超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

赤ら顔

 勤務先の水族館から蛸が逃げた。残された蛸つぼを調べてみると、内側に何かの計算式のようなものや人体をあらわした図のようなものがびっしり書き込まれていた。これはやっかいなものが逃げ出したと全力で探しているもののいまだに見つかっていない。が、私は蛸がいなくなるのとほぼ入れ違いに入ってきた、やたら赤ら顔の清掃員のおじさんが怪しいとひそかに睨んでいる。