超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 近所に竹やぶがあり、そこに粗大ごみを不法投棄していく輩が後を絶たないのだが、その竹やぶには、時々、古いラジカセの幽霊が出ることがある。
 悪さをしたり、脅かしたりはしない。ただごみの山の上にぽわんと浮かび、中島みゆきの「狼になりたい」を延々と流すだけの幽霊だ。
 ごみたちにきかせているのか、俺たちにきかせようとしているのか、単に元の持ち主が好きだったのか、選曲の理由は知らない。が、家で一人で酒を呑んでいる時とかにやられると正直泣きそうになるので、やめてほしいとは思っている。