超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

特典(改稿)

 仕事が忙しくて、火葬場から来ていたハガキに気づかなかった。ハガキには「ご当選おめでとうございます」の言葉とともに、QRコードが印刷されていた。
 私は画面がひびわれたままの携帯電話でQRコードを読み取った。すぐに画面が切り替わり、

 焼却中・・・

 という文字が現れた。"・・・"の部分が跳ねるように動いていた。
 そのすぐ下で、火葬場のマスコットと思われる二頭身の美少女キャラクターが座布団に座ってお茶を飲んでいた。こめかみの辺りから出ている吹き出しの中で、ポップなフォントの

 あと5分!

 の文字が膨らんだり萎んだりを繰り返している。

 

 なんだおい。
 これだけか。
 やっぱり火葬場を変えることにした。