超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

独り言

 ドラム缶にゴミを入れて燃やしている時、ぶつぶつと独り言をつぶやいていることに気がついた。はっとして立ち上がり、その場に自分しかいないことを確かめ、ため息をつく。
 元々独り言が多い方だったけど、これは相当重傷だな。
 そんなことを考えながら、まだ燃やしていないゴミを乱暴にドラム缶に放り込むと、炎の燃える小気味よい音が独り言の余韻をかき消した。再びドラム缶の前に座り、揺らめく炎を眺めているうちに、独り言をつぶやいていることに気がつく。はっとして残りのゴミを入れる。それを何度か繰り返した後、やっと全てのゴミがなくなった。
 炎が消えるのを待ち、灰を処分するためにドラム缶を傾けると、中から焼け残った唇が出てきた。ぶすぶすと煙を上げているような状態なのに、なお何か独り言をつぶやいている。本当にしつこい方だ。