超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

どきどき

 河原を歩いていたら、大きな石を見つけた。白くて滑らかで、柔らかそうな石だった。

 何だか堪らなくなり、思わず拾い上げたそのとき、どこかから声が聞こえてきた。

「あの……それ、私のおっぱいなので、持っていかないでください」

 周りを見回すと、川底に捨てられて半分腐りかけた自転車の下から、小さなあぶくがぷつぷつと浮かんでいた。