2014-04-26 海と歯車 マリコからきいた話 春の日の明け方に、街に面した大きな海が、しんとして凪いでいた。 海に潜って調べてみたら、海を動かす歯車にくらげが挟まり死んでいた。 くらげをペンチで引っ張り出すと、歯車はゆっくり動き出し、海のあちこちに波が萌え、魚も鳥もほっとしていた。 海から上がり、くしゃみを一つした後、死んだくらげを、不憫なやつだ、砂浜の隅に埋めてきた。 * やがて街が目覚め、人々が家から出てきた。 ずぶ濡れのまま朝の通りを歩く私を、みんながじろじろくすくす笑っていた。 寂しい気持ちで部屋に戻った。