超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2024-02-02から1日間の記事一覧

夜、恋人の耳から漏れてくる光で目が覚めたので、眠い目をこすりながら愛を囁くと、光はふっと消えた。

なけなしの小遣いで雨雲の素を買った少年が、団地中のベランダに干されている洗濯物をじっと睨んでいる。

造花

全ての生命が滅びた星で、造花がゆっくりと匂い始める。

蜜柑

私がこのコタツで蜜柑の白い筋を剥き始めて、そろそろ千年が過ぎようとしている。

白い息

冬の朝、自販機の傍に転がっている空き缶から、白い息が吐き出されている。