超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2024-01-26から1日間の記事一覧

荒野

電子の荒野に横たわるコンピューター技師の死体に、無数のマウスポインタがたかって、クリックを繰り返しているが、死体は二度と動かない。

マーク

値札にこのマークがついている子は、魂の再利用が可能です、とペットショップの店員が説明してくれた。

これも

「これもあげるよ」と言って、金魚すくいの屋台のおじさんは、自身の腕からうろこを一枚剥がして、僕にくれた。

春、雪だるまが融けた跡に、雪の結晶の絵がプリントされた錠剤が一粒、落ちている。

三輪車

とてもゆっくり走る霊柩車の後を、誰も乗っていない三輪車が一所懸命についていく。