病床の母が口から吐く蝶が、だんだん図鑑に載っていないやつになっていく。
ある夜、空から一本の絵筆が落ちてきて以来、月は満ち欠けをやめた。
公園の隅、「ぼくにえさをやらないでください」と書かれた看板の下で、おじさんが膝を抱えている。
閉店後の居酒屋の厨房で、板前がまな板についた魚の血で、数式を解いている。
墓地から「肥ったなぁ~!」という声が聞こえてくるので、見ると、骨壷を抱えたおじさんが、目の前の墓石を笑顔でぺちぺち叩いている。
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