超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2023-08-01から1日間の記事一覧

僕が買い物籠に入れた骸骨のパーツを一つ一つバーコードリーダーで読み取っていた女性店員が、全部読み取った後で突然「左手の薬指はよろしいんですか?」と尋ねてきたので、僕は「いいんです……」と言ったきりうつむいてしまった。

病室で鏡を見ていた祖母が、そこに映る自分の顔を指さして、「この人、テレビで見たことがある」と呟いている。

楽園

彼女に膝枕をしてもらっている時、鳥が歌い、風が踊り、色とりどりの花々が咲き乱れる、楽園のような場所が、彼女の鼻の穴の中に広がっていることに気づく。