超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2022-11-05から1日間の記事一覧

祖父を火葬した後の台車の中に、水滴状の謎の骨が一つ混じっていて、その尖った先端が、どんなに風に置いても、必ず私を指す。

手品師

盲目の手品師が微笑んでゆっくり広げた母の遺書を見ると、私の名前が綺麗に消えている。

「海を見せないでください」との注意書きがされた人形を買う。女の人形だ。抱いて寝る。海の夢を見てしまった。申し訳なく思う。