超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2021-07-25から1日間の記事一覧

「朝ですよー、起きてくださーい」そう言って女は今朝も、夫の骨壺の中身を一つ一つ陽の当たるベランダに並べていく。

需要

「需要があるから取り壊せないんだよねぇ」老人はそう言って廃屋の一室の扉を開けた。その部屋の壁には、びっしりと藁人形が打ち付けてあった。「山の木より効くらしいんだ」老人はどこか照れくさそうにつぶやいた。