粗大ゴミ置き場から逃げ出し、野生化した炊飯器が、蓋を全開にして雨を待っていた。お前、まだ何か炊くつもりなのか。塗装の剥げたそのボロボロの体で。知らず知らずうち、涙が溢れる。その滴を見逃さず、炊飯器が俺によたよたと近づいてくる。
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