超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2020-04-05から1日間の記事一覧

粗大ゴミ置き場から逃げ出し、野生化した炊飯器が、蓋を全開にして雨を待っていた。お前、まだ何か炊くつもりなのか。塗装の剥げたそのボロボロの体で。知らず知らずうち、涙が溢れる。その滴を見逃さず、炊飯器が俺によたよたと近づいてくる。