超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

競りと商品

 健康診断に引っかかり、入院することになった。

 ある夜トイレに行って、便器の蓋を開けると、便器の中に真っ赤な心臓が沈んでいた。

 心臓には値札がついていた。そこに殴り書かれた金額は、あまりにも安いように思われた。それでそのまま流してしまった。

 尻を拭いているとき、どこからかため息が聞こえた。