超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

象と歯車

 動物園で働く姉が、仕事中の事故で死んだ。姉は高校を出てからずっと、象の中の仕事をしていた。

 園長の話によると、今日は象の機嫌が悪かったらしい。気づいたときには象も姉もバラバラで、打つ手は何も無かったらしい。

 姉が死んだ現場を見せてもらったら、象の鼻を動かす歯車に、姉のハンカチが挟まっていた。

 ブスでいい奴だったのに。ああ。