超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

青い羽根とささやかな欲望

 たくさんの鳩がかたまって、男のようなかたちになったものと、イメクラの待合室でいっしょになった。週刊誌を読むふりをして観察していると、鳩がかたまって男のようなかたちになったものは、ペラペラの安い生地で出来たセーラー服を、きちんと折りたたんで膝の上に大事そうに置いていた。自前の衣装を持ち込める店なので、そういう客も別に珍しくはないが、安っぽいセーラー服なんて店が用意しているはずだ。現に、壁に貼られたメニュー表にも、セーラー服は何パターンも載っている。

 首をかしげていると私の順番が来た。週刊誌を戻し、イメクラ嬢が待つエレベーターへと向かうとき、もう一度男のようなものへ目をやると、セーラー服の下から、鮮やかな青い羽根がはみ出ているのが見えた。本当に必要なのはあの、羽根の方なのだと合点がいった。

 しかし、どんなプレイに使うんだろうと考えはじめたところで、エレベーターの扉が閉じ、女の子にキスをされたので、もうどうでもよくなってしまった。