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トモコとマリコ

超短編を中心とした短い読み物を発表しています。隔週土曜日更新。

スタンド・バイ・ミー

トモコからきいた話

 俺がバイトするコンビニに深夜、オモチャのロボットが酒を買いに来た。
 自分の背丈ほどもある缶ビールを抱えて出ていく足音が、カチャカチャと物悲しかった。
 街はもう3月だ。
 オモチャのロボットにも酔わなきゃやってられないような別れがあるのだろう。

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月と夜空(改訂)

トモコからきいた話

 夜の屋台でかけ蕎麦を手繰っていたら、つゆに満月が映っているのに気が付いた。
 月見そばか、と心の中で冗談を言いながらつゆをすすると、月が前歯にこつりとぶつかった。
 思ったより腹の足しにはなったが、夜空は真っ暗になってしまった。

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生きものの記録

マリコからきいた話

 のぼり坂を機嫌よく歩いていたら、それまで吹いていた心地の良い風がとつぜん凪いでしまった。
 お母さんから渡された買い物のメモを握りしめたまま、不安になって立ち止まる。
 耳を澄ますと、坂の上の丘の向こうから、ペンを動かす音が響いてきた。
 どうやらまだ続きが出来上がっていないらしい。

 今度の人はずいぶん遅い。
 前の人の方が早かった。
 まあ、前の人はお母さんを病気にしてしまったけど。

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ニューヨークニューヨーク

どこかできいた話

真昼間の波止場で、
腹から血を流して倒れている男

目をいっぱいに見開いて、
天高く輝くアレが、
おっぱいなのか太陽なのか
確かめようとしている。

さようなら。

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めまい

どこかできいた話

 自転車のかごに神様の首を入れて、少年が山道を駆け下りていく。
 少年の火照った胸にまとわりつく汗を、夏の風が心地よく舐めていく。

 上級生たちの驚く顔を想像して、少年は上機嫌だ。
 少年の家では、まだ幼い彼の妹のおっぱいが、突然かたく張り出していた。

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