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トモコとマリコ

超短編を中心とした短い読み物を発表しています。隔週土曜日更新。

ファミリーサーカス

マリコからきいた話

私がまだ幼かった頃
星を盗んで食べたことがあります

怒ったお月様に追いかけられて
よく噛みもせず慌てて飲み込んだもんだから
大人になった今でも
お腹の中で星は光ったままです

だから
今まで子どもは何人も出来たけど
皆「まぶしい」と言って
生まれる前に去ってしまいます

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スウィートドリームス

どこかできいた話

らぶゆー
と彼女は囁き
私の小指を飲み込んだ。

部屋の外では
年老いた見張り番が
古い映画の夢を見ている。

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月と葡萄

マリコからきいた話

今日が終わり、
今日がまた来る。

ふと見上げた夜空には
満月がいくつもいくつも浮かんで
まるで葡萄の房のようだ。

また少し狭くなったベッドの中で
私が私の指に指を絡ませてくる。

また少し明るくなった月明かりから逃れるように
私が私の手から毛布を奪う。

月になる

どこかできいた話

夜中にこっそりベッドを抜け出し、
夜空に寝そべり、
黄色い毛布をすっぽりかぶり、
満月のマネをしてふざけていた姉は、
やがて夜の闇に少しずつかじられて、
半月になり三日月になり、
とうとう跡形もなく消えてしまった。

次の日の朝、病院の人は、
誰もいないベッドのシーツを換えながら、
「たまにあるんだ、こういうこと」
とため息をついていた。

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