超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

弾き語り

 路上で死体の弾き語りをしている人がいた。仰向けにした死体の腹をこちょこちょ撫でると、ぽかんと開かれた口からモーツァルトの音色になっている息が漏れてくる。目の前に置かれた棺桶には、小銭に混じって香典袋が入っていたので、そういう葬儀なのかもしれない。