超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

次男

 真夜中、おぎゃあとけたたましい泣き声が山の方から聞こえてきた。翌朝、昨日までまん丸だった山がぺしゃんこに萎んでいた。出産祝いを町のみんなで、萎んだ山に供えた。次の日、みんなの家の前に、果物や山菜がどっさり置かれていた。逆に気を遣わせてしまったみたいで申し訳なかった。そういえば、長男の方は元気だろうか。結局入道雲になる道を選んだと風の噂で聞いたが、今年の夏辺り、久しぶりに顔を見せに来てくれないかな。