早朝、近所の路地を、
一本の樹が、
うろうろ歩き回っていた。
焦っているようだった。
困っているようだった。
樹液のようなものが滲んでいたが、
脂汗だった。
樹は、
何かぶら下げていた。
樹の、
一番太い枝で誰かが首を吊っていた。
樹は、
これにうろたえて、
助けを求めに来たらしい。
樹が、
動くたびに誰かが揺れた。
樹のことだから、
植木屋がいいと思い、
植木屋の方を指さすと、
樹は、
ぺこぺこしながら路地を曲がり、
やがて見えなくなった。
何か気の利いた言葉をかけてやろうとしたが、
何も思い浮かばなかったので、
今日、このことをブログに書く時までに、
考えておこうと思った。