超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 凛とした空の下に、山々の青が沈んでいる。

 体を起こし、窓を開け、指を突っ込んでそれをかき混ぜる。

 

 

 空の青と山の青と少しの雲の白が、渦を作りながら混ざり合い、窓の向こうがあざやかになる。

 そうしたら指を引っ込めて、窓を閉める。

 

 

 青と青と白の渦が少しずつ回転を緩め、元の空と山と雲に戻っていくのを眺めるのが好きだ。

 

 

 再び寝転がり、少しだけ濡れた指先のにおいを嗅ぐ。

 空と山と雲の香りがする。

 空も山も雲の上にも行ったことはないけど、何となくそんな気がする。