超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2023-11-19から1日間の記事一覧

いつもより遅く昇ってきた太陽にビールの泡がついている。

義母が頑張って作ってくれたオムライスの、ミックスベジタブルの色を見て、ここはやはり異星なのだと改めて実感する。

ポン

母の墓前に私の卒業証書を供えた墓地の方から、夜中、ポン!と筒の蓋を開ける音がする。

かくれんぼ

死んだ息子たちが墓地でかくれんぼをしているが、彼ら自身の墓石の陰には誰も隠れようとしないのが可笑しい。

水の音

隣の房にいる人魚の受刑者が寝返りを打つ水の音が涼しい、夏の夜だった。