超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 今朝もぬいぐるみ工場の前にたくさんの子どもたちが並んでいる。
 色々な理由で世間から忘れられた子どもたちだ。
 彼らはこれからあの工場で、長い時間をかけて体をほどかれ、やがてぬいぐるみを縫う糸になる。
 今年もクリスマスの季節がやってくる頃には、おもちゃ売り場は子どもたちで賑やかになるだろう。

ピクニック

 昨日は家族でピクニックへ行きました。
 海がよく見える高台で、みんなでお母さんのサンドイッチを食べながら、海の底を歩いている人たちを眺めました。
 手錠をしたおじいさんがウツボに脚をかじられて転んだのを見て、みんなで大笑いしました。
 あっちに生まれなくてよかったなぁ、とお父さんが言いました。
 本当にそうだなぁ、と思いました。