超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

地獄

 今日は時間とお金に余裕があったので、地下鉄を乗り継いで地獄へ行った。半年前に死んだじいさんがいるだろう、と思って見回してみたが、それらしい亡者はいなかった。あんな強欲なじいさんが地獄に落ちていないなんてちょっとおかしいぞと思った。家に帰って何気なく靴の裏を見ると、みぞに、骨の欠片みたいな細かい白い物がいっぱい挟まっていた。