超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ぷわり

 咳をするたび、耳から、しゃぼん玉が、ぷわりととびだす。
 さすが、新しい病院の、新しい薬だ。気が、利いている。

 咳をするたび、耳から、しゃぼん玉が、ぷわりととびだす。
 虹色をぎらつかせながら、病院の天井に、次々と弾けて、消える。

 咳をするたび、目の中が、にぎやかだ。
 久しぶりに、にぎやかだ。

 咳が、また、ひとつ。