超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

寝過ごした男

 夕立が降り出した。
 ほどなくして、どかん、と雷の音が辺りに鳴り響いた。
 しかし、音はするが、どこを見回しても、空に稲光が見当たらない。
 不思議なこともあるものだと思っていると、稲光を束にして肩に担いだ職人風の男が、大慌てで雨の中を雷鳴の方へ駆けていった。