超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

爪をとぐ

 いつものように学校へ向かう子どもたちを笑顔で見送っていたら、野良猫がやってきて私の脚で爪をとぎ始めた。
 やはり動物は勘がいい。
 私が人間でないとすぐに見抜いたらしい。
 遅刻したらしい男の子が私に気づき、物珍しそうな目で私と猫を交互に見ながら近づいてきた。
 もっと吟味する予定だったけど、今回はこの子で妥協することにした。