超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

誕生

 公園をジョギング中、敷地の隅に枯れた花壇を見つけた。
 周りの花壇には鮮やかな花が咲き乱れているのに、その花壇一つだけが不自然に枯れ果てている。
 休憩がてらぼんやりと眺めていたら、花壇の土がもこもこと盛り上がって蠢きはじめた。
 モグラでもいるのかと思っていると、土の中からやたら肌つやのよい裸の少年が飛び出してきて、泣きながら走り去っていった。