超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2014-12-13から1日間の記事一覧

しゅわしゅわ

海辺の小さなアパートに、女が住んでいた。 女は毎日、朝から晩まで、砂浜に腰かけて海を眺めていた。 女の肌には色がなかったから、夕暮れには女は夕暮れの色に、夜には女は夜の色に染まった。 ある日通りすがりの少年が、潮風の中に甘い香りを嗅いだ。それ…