ぱつん、と音がして満月が吹き飛び、巨大なボタン穴とともに夜空が弾けた。
生身のおばあちゃんは亡くなっちゃったけど、電子版のおばあちゃんはネットワークの中でまだ生きていて、ログインするたびにぼくらにお小遣いもくれる。
姉が嫁いでいった家の家紋がどう見ても土星で、この頃姉と連絡がつかないことが何だか多い。
何も映っていない鏡の前でうなだれる老婆の手には、鏡文字で名前が書かれた香典袋が。
我が家では季節に関係なく、毎月十七日に、居間の神棚から一匹の蚊が現れて、家族全員の血を吸い、また神棚に帰っていく。
遙か頭上高く、雲の横に浮かぶ浮き輪を見上げながら、最近額に生えてきたチョウチンを指でいじっている。
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