早とちりな性格なので、お祭りの金魚すくいの屋台に行っても、金魚ではなく赤く塗った小指ばかりすくってしまう。
快進撃を続ける水泳部が使用した後のプールの底に、数枚の魚のウロコが落ちていることを、新聞部がスクープした。
チョコレートの板に「ご臨終です」と書くよう注文を受けたホールケーキを、いつまで経っても誰も取りに来ない。
毎年夏になると、花火がどこかで打ち上がるたびに、家の前のマンホールの蓋がずれる音がする。
「今日は死んだ孫がこれだけ生まれ変わったのよう」と言いながら、近所に住む老婆が籠いっぱいのキノコを見せてくる。
ぼくのお母さんは、おばあちゃんと電話で話す時、必ず親指を隠している。
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