2017-10-21 遅延 トモコからきいた話 スーツを着た首のない人々が、朝の駅のホームにひしめき合っている。 彼らの頭を運んでくるはずの列車が、今朝は少し遅れているのだ。 時計を見る目も、アナウンスを聴く耳も、遅刻の言い訳を考える脳味噌もみんな列車の中だから、彼らは朝の光の中で立ち尽くすことしかできない。 立ち食い蕎麦屋の親爺はこっそり煙草を呑みながら、久しぶりに訪れた朝の静寂を満喫している。