超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

栓と鮫

 年のせいなのか疲れのせいなのか、どうもどこかの栓がゆるくなっているらしい。
 最近、しょっちゅう夢が外にはみ出す。
 この間も、電車のつり革を握ったまま立ち寝してしまっていたところ、突然駅員に恐ろしい声でたたき起こされた。
 びっくりして顔を上げると、目の前の網棚に、先ほどまで私を追いかけていた人食い鮫がびちびちと横たわっていた。