超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

夜話(亡くなった夫を)

「亡くなった夫を、ジグソーパズルにしてもらったのですが……友人や親戚に反対されてしまいまして、ええ。で、いろいろと話し合った結果、ひとまず元通りに組み立てて、それから改めて焼いていただくことになりまして。

「夫の実家の広いお部屋をお借りして、夫の元の同僚の方や、私の友人、互いの親戚、それから念のためお坊さんですね、とにかく方々から人をお呼びして、皆で亡くなった夫を、元通りに組み立てたんです。

「そしたらね、途中でお義母さまがお茶やお菓子を出してくださったりして、そういうのもあるのかもしれませんけど、案外和やかな雰囲気でね、組み立てながら皆で、夫の思い出話に花が咲いちゃって。何気ないピースを手にとって、あらこんなところにほくろがあったのね、なんて言いながら、うふふ、皆でわいわいがやがや。

「最後は全員で記念写真なんかもね、ええ。

「ええ。ええ。そうなんです。

「そう考えるとやっぱり、亡くなった夫をジグソーパズルにしたのは、案外悪くないアイデアだったのかなって、今では思います」