2013-11-20 雲と林檎 マリコからきいた話 授業中、教室の窓からふと夏空を見上げると、まっすぐな飛行機雲に、知らない学校の制服を着た女の子が腰かけていた。 膝の上に載せたガラス皿から林檎をつまみながら、ぼんやりと遠くを眺めていた。 昼休み、学校の屋上に行き、他のみんなに気づかれないように、彼女に向かって手を振ってみた。 腕が疲れただけだった。 放課後、バス停でバスを待ちながら夕空を見上げると、飛行機雲は消えかかっていて、彼女もいなくなっていた。 彼女の白い脚を思い出しながら、林檎ジュースを買って帰った。