超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2017-11-08から1日間の記事一覧

鯨とイソギンチャク

胸に造花を飾った鯨が体育館をゆっくり泳ぎ回りながら、低く張りのある声で堂々と送辞を述べている。 体育館には卒業生たちのすすり泣く声が聞こえ始め、やがて鯨の目からこぼれた涙とともに、万雷の拍手が響き渡る。 その音を遠くに聞きながら、イソギンチ…