超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2014-05-03から1日間の記事一覧

薔薇と心臓の日

よく晴れた午後、医者が写真を見せてくれた。 私の心臓に、薔薇が蔦を絡ませていた。瑞々しい棘が小さな心臓に、いくつもいくつもいくつも食い込んでいた。 何も言えないので何も言わないでいると、医者も何も言えないと見えて、何も言わないで去っていった…