超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

案山子

 一番お気に入りの案山子、一所懸命作った案山子、だけど壊して捨てなきゃなんない。見てしまったんだ、案山子が、肩にとまった雀にウィンクしてるところ。どうりで雀の数がちっとも減らねえわけだ、お父さんはカンカンだ、やさしいんだろうけどねえ、お母さんは困ってる。一所懸命作った案山子だったのに、いや、一所懸命作ったのが悪かったのかもしれない、ごめんよ、案山子、雀にはよろしく言っておくから。