超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

 アルバイトをしている喫茶店に、朝から妙な4人組が来て、コーヒー1杯で夜まで居座り続けていた。
 コーヒーを飲んだり煙草を吸ったりする時以外はずっと額を付き合わせて、何かを話し合っているのだが、その結論がなかなか出ないらしい。
 とうとう閉店の時間になってしまったのでそのことを告げに行くと、4人組のうちの1人が突然私を指さし、「もう、この人に決めてもらおう」とやけになったような調子で言う。
「はい?」
「すいません、何か適当な数字を言ってもらえますか?」
「数字……?」
「何でもいいんです」
 私は店の時計を見て答えた。
「じゃ……9」
「9ですね。ありがとうございます」
 4人組は疲労困憊といった様子で立ち上がり、だらだらと店を出ていった。

 9日後、地球は爆発した。