2018-01-09 睡蓮と女 クミコからきいた話 焼き芋の屋台だと思って覗き込んだ荷台の木箱には、濁った水と睡蓮と、睡蓮の間に浮かぶ女の死体が揺れていた。 わずかに開いた死体の口からは、良い酒の香りが漂っていた。「ありがとうございます」 屋台を引いているおばさんはそうつぶやいて、月明りに目を細めながら路地の向こうへ消えていった。