そんなに急いで、たくさん食べなくてもいいのに、と彼女は呆れたように俺に言う。
俺もそう思う。
けれど、彼女が砂糖菓子に戻ってしまう前にお腹を一杯にしておかないと、えらいことになってしまうのだ。
幸い、彼女はまだ自分の背中の一部がかじり取られていることに気付いていない。
二か月前、あの妙な気持ちの中で、咄嗟に彼女自身が触ったり見たりできないような場所を選んだ俺の判断も素晴らしかったと思う。
そんなことを考えていたらジャガイモを喉に詰まらせてしまった。
目を白黒させて胸を叩く俺に、彼女が慌てて水を持ってきてくれる。
心配そうに俺の顔をのぞき込む彼女から、甘い香りが漂ってきた。
たぶん、香水かシャンプーだ。
たぶん、そうだ。
俺は自分に言い聞かせ、再びフォークを掴む。