トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

時計

鏡に映った時計が二分進んでいる。

動物病院

ファスナーが壊れたので動物病院へ。

お化け屋敷

文化祭でお化け屋敷をやると決まった時、クラスメートの××君は、異常に嬉しがっていた。「準備だ、準備……」彼はそんなことをつぶやきながら帰宅した。その晩、部活の帰り、××君の家の前に、数台のパトカーと救急車が停まっているのを見た。

間違えた

「お前が死ね」「ごめん、間違えた」「お前が死ね」「間違った(>_<)気にしないで」「お前が死ね」「すみません誤送信です」同じ日に三回、それぞれ違う友人たちからそんなメールが届いた。

炭火焼き

「炭火焼き」と書かれたのぼりが、火葬場に。

指棚

友人の部屋の指棚の、指輪がはめられたまま並べられた指を見て、俺なら指輪外して売るのに、こいつ、やっぱり金持ちだなぁ、と思う。

集合写真

卒業アルバムのどのクラスの集合写真を見ても、同じ骨壺を抱えた女が写っている。

人形

フリーマーケットで人形を買い去っていく女の子の背中に向かって、店主のおばあさんが「笑ったら……お寺……」と叫んでいる。

こたつ

こたつに突っ込んだ足から伝わる感触でピンと来た。「生首?」「うん。怒ってるからあったかいでしょ」

アタリ

左ひざのかさぶたを剥がすと裏に「アタリ」の文字があり、その夜何もないところで転んで右ひざから血が出た。

老後の楽しみ

「そうですね、この時期になると、自殺のご予約でいっぱいです」名所の管理人、××さんは語る。「お金は取りません。その代わり顔写真を一枚いただいています」××さんのコレクションは今年四百枚を超えた。「これを眺めてね、老後の楽しみにするんです」××さ…

コメント欄

コメント欄が荒れてるから、あの拷問は次回からなし。

本日のランチ

定食屋の店先。本日のランチ。「宇宙旅行とライス」そこに置かれているのは、白飯の食品サンプルと注射器。

説明書

押入の奥から出てきた昔の携帯の説明書をめくっていたら、電話のかけ方やメールの送り方を説明するページに載っているサンプルの画面の図の時刻が、全て明け方の4時44分に発信・送信したことになっているのに気づく。

玩具箱

今日は家族でそれぞれの部屋のお掃除。娘が空にした玩具箱を抱えてやってきて、底に溜まった糞をざあっとゴミ箱に捨てる。

屋台

ネットで見つけたそれは、どこかの夏祭りを映した映像だったが、一軒の屋台ののれんにモザイクがかけられており、目を細めるとうっすら、「忌」と「肉」という字が読める。

ドールハウス

朝のゴミ捨て場に、真っ黒に焼け焦げたドールハウスが三週連続で捨てられていた次の週、真夜中、近所の家が火事に遭った。

本物

蝿がたかってるのが本物。色んなところ取れやすくなってるから、気を付けて遊んでね。

地蔵

ゆうべ彼氏と入ったラブホテルの部屋にはお地蔵様が四体置かれていたが、視線を感じるのが嫌という人が多いのだろう、首を百八十度回せるようになっていて、親切なホテルだと思った。

「理科準備室の壁には決して覗いてはいけない穴がある」そんな噂が校内でささやかれ始めて数ヶ月後、担任の先生に呼び出され、理科準備室の鍵とともに「お前は覗け」と言われる。

観光地

ここ数ヶ月の間に発見された自殺者が、みな手に同じ観光地のパンフレットを握りしめているが、いくら調べても、地球上のどこにもそのパンフレットに書かれている観光地はない。

お肉

お、君のお弁当はお肉がいっぱいだね。「昨日、お父さんが実験に失敗したので……」

冷蔵庫

人肉を入れると悪夢を見ているみたいに唸り出すこの冷蔵庫が面白くって、つい。

冗談

深夜、テレビを点けたら、子猫を棒で叩く映像が流れていて、「冗談です」というテロップが表示されていた。後日、「ご視聴ありがとうございました」という手紙とともに、あの子猫の死骸が宅配便で送られてきた。

レンタル

レンタル遺体なので火葬はNGです、悲しむだけにしてくださいね。

病院

ここの病院は先生も看護師さんもみんないい人ばかりだが、手術室から出てくる時だけ、服の胸の部分がよだれでびしょびしょになっているのが気になる。

ベランダで首を吊っている人がいるとの通報を受け、管理人とともにアパートの一室の扉を開けると、夜の闇の中に首吊り死体のシルエットが見えるので、中に入ろうとするが、なぜか脚が動かず、下を見ると、人間の形に切られた紙がびっしりと俺の脚を覆ってい…

駅のホームで電車を待っていたら、一人のおじさんがやってきて、私と少し離れた場所に立った。おじさんは何かを調整するようにもぞもぞしていた。どうやら、私の影と自分の影を重ねているようだった。何か気持ち悪いな。そう思った数ヶ月後、私の影は孕んで…

美味しい

「美味しいから召し上がってみてください」という意味のお経をあげてもらった弟の遺体は丸々と肥えている。

弾き語り

路上で死体の弾き語りをしている人がいた。仰向けにした死体の腹をこちょこちょ撫でると、ぽかんと開かれた口からモーツァルトの音色になっている息が漏れてくる。目の前に置かれた棺桶には、小銭に混じって香典袋が入っていたので、そういう葬儀なのかもし…