超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2023-01-06から1日間の記事一覧

夜の公園のベンチ、ぼくの顔を見た彼女がふふっと小さく笑って言う。「あなた、右目だけ、月が二つ映ってるわよ」

ボトルシップ

密封していたはずのボトルシップの甲板の上で、どこから入ったのか、蝿が一匹、仰向けに倒れており、弱々しい声で、蝿の国の国歌を歌っている。

墓石に水をかけるのは、墓石から染み出てくる黒い水を洗い流すためではないと、結婚してから知る。