2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「おじさんは、君の前世を、知ってるよ」養豚場に勤めている近所のおじさんが、にこにこ笑いながら私に言う。
双子の私たちを完璧に見分けることができるのは、目の見えない祖母だけです。
夫と喧嘩。「一人にして」と言い残し、結婚した時夫がプレゼントしてくれた星へロケットで。そこでふと見上げた夜空に輝く星を結ぶと浮かび上がってくる「ズットイッショ」の文字を見て、ため息。
電柱に貼られた、尋ね人の貼り紙に印刷された写真の、女の人の頭上に、天使の輪の落書き。
主犯格の少年は「お坊さんは死なないと思っていた」と供述しています。
高架下のコンクリート壁にスプレーで書かれた落書き。「天罰↓」矢印の方を見ると、壁に、何かのシミがべっとり。
娘の遺影に使う写真を選んでいる時に、家族全員、写真で指を切った。
父に言われた通り、部屋の隅や家の隙間に、亡母の写真を置いてから、ゴキブリが出なくなった。
通学路の途中の川の川底に、母子手帳が沈んでいて、表紙に、学校に来なくなったクラスメートの名前が書かれている。
引っ越しの準備に疲れて、部屋でうとうとしていたら、男の子の声で「お嫁に行かないで」と聞こえたので、はっと顔を上げると、飼い犬が私をじっと見ている。
「元カノ」フォルダ。最後の写真は、あのビルの屋上を撮った写真。
この間、空き巣犯に、金品に混じって盗られた私のへその緒が、ネットオークションで転売されており、出品者への質問のところに「美人ですか?」とのコメントが。
奥さん。ゴミで捨てられるのは悪い猫だけですよ。この猫はまだ良いじゃありませんか。
「中に私の部屋の合鍵が入ってるよ」と彼女に言われて、彼女に見下ろされながら、蛇の死骸の腹を裂く。
女と、口移しで、金魚を食べる。
夜逃げ途中、高速のサービスエリアの鈍い光の下で見る、おじいちゃんから貰った蝶の標本のキラキラ。
最近めっきり話さなくなった妻が使った後のパソコンに、「毒 美味しい」の検索履歴。
盗んできた骨壺が昨日より重くなっている。怖い。
そいつにしかできない漁法。そいつが水面に顔を映して、ニカッと笑うと、海の中から、瀕死の魚がぷかぁと浮かんでくる。たくさんの罪を重ねた、そいつにしかできない漁法だ。
「牛さん♪牛さん♪」と言いながら、カルビを網に並べていく女。
目を閉じてまぶたを強く押すと、まぶたの裏にぼんやりと、大きな城の姿が浮かんでくる。死んだらあそこに行くのだろうな、と何となく思っている。
動物園に行ったら、ライオンの檻の前で全裸で突っ立っていたおじさんが警備員に引きずられていくのを見た。何があったのかは全然知らないが、ぼくにはちょっとだけ、あのおじさんの気持ちが理解できるような気がした。
死んだ祖父を焼くとき棺桶に一緒に入れたので、我が家の将棋セットには「桂馬」が一つない。
昼寝していたら、息子がやってきて、私の服をめくり、へそを覗くと、薄笑いを浮かべ、去っていった。
遺書感想文。兄ので。
毎朝毎朝、線香の灰が口の中に落ちてきて目覚める、一人暮らしの部屋。
父の戒名には「(笑)」が付いている。
「ひな人形が自ら発火した」としか言いようのない火事。
夏の午後、素っ裸で縁側に寝転んでいたら、入道雲に童貞を奪われた。
使う予定もないのに、おちんちんの電池を新しいのに交換したりして、何やってんだろうな、俺。