2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧
近所を散歩していたら、電信柱に張り紙がしてあった。「里親を探していました」という文字。一緒に写真が印刷されていた。盛り土に一本の線香が刺さっている写真。びゅ、と鋭い風が吹き、張り紙をカサッ、と鳴らした。
次はぁ、××駅ぃ、××駅ぃ、駅を出るまでぇ、笑顔でいないとぉ、命の保証はぁ、できませんんんん。
氏の葬儀には、一人息子の他、約三千羽の蝶が参列した。
「それでは……」と大道芸人はつぶやき、喪服を着た遺族たちが見守る前で、死んだ男の顔写真を貼り付けた操り人形を陽気に踊らせはじめる。
山からかすかに響いてくる、生け贄に選ばれたあの娘の口笛の曲が、昔みんなで集まって観たアニメの主題歌ばかり。
明らかに昨日より水位の下がった海の真ん中に、ストローが一本、ぽつんと浮かんでいる。
小学校に野良犬が入ってきちゃったので慌てて追い出したが、よく考えるとその日は授業参観の日だったから、もしかして?
幼い頃、私をいじめたりひっかいたりした野良猫は、次の日必ず、おばあちゃんの白髪をのどに詰まらせて死んでいたものでした。
あの火葬場は、周りにハーブがいっぱい生えているのが気になる。
じゃあ、この線香花火が燃え尽きるまで、私のこと、生きてる人間だと思って、好きにしていいよ。
この動物園には散策ルートが2つあって、東から回ると調理前、西から回ると調理後の姿が楽しめる。
学校で身体測定がある時、××君だけは別に専用のトラックが用意されていて、その中で測定を受けている。理由はわからない。噂によると、トラックにはちっちゃく「NASA」って書かれているそうだ。
首吊り自殺にあんな形で失敗した叔父さんは、今は穏やかに、キリンとして動物園で暮らしている。
死んだ後も栄養ドリンクを墓石にかけられ、「早く化けて出てみんなを盛り上げてくれ」と言われる。
産婆は今しがた妊婦の股から出てきた一本の日本刀を抱えたまま、いつまでも呆然としていた。
あの人雨でもないのにどうして傘さしてるんだろう、と思いながら見ていたら、とつぜん強風が吹き、裏返ったその人の傘の内側に、内臓がびっしり生えているのを見る。
夜中、受験勉強中の姉が、手錠の鍵を持って地下室に消えていったので、たぶん夜食を作ってもらうつもりらしい。
国民のヒーローを救うため選ばれた医師と看護師が、手術台の上に置かれた一冊の漫画本をじっと見つめている。
はい、罰ゲームでーす、地球にワープして十秒間深呼吸してくださーい。
長い雨で散歩に出られないから、犬小屋を覗くと煙草の吸い殻がこんもり。
この川は元々切り傷だから、徐々に塞がっているんですよ。
おい、あんだぁ……俺のごど……視えでるんだろ……なぁ……ぢょっどでいいんだ……アンケートに協力してくれねえが……。
夏祭り。あれ、この射的の屋台、店主一人が座っているだけなのに影の数がやけに多いな。と思ってよく見ると、景品が全部位牌だった。
親指の爪一枚で支払われたので、お釣りに小指の爪を三枚手渡す。
使用する魂が重複しています。生まれ直してください。
とうとう彼と別れたので、知り合いの外科医のところへ行って、心臓に貼ったプリクラを剥がしてもらう。
今日はプレーンのじゃがいもを買ってきてしまったので、夕食前にパソコンに繋いで北海道産の味をインストールしなければいけない。
昨日までお友達だった灰を、娘が不思議そうにつま先で撫でていました。
蝿に生まれ変わる親族が多いので、我が家は生ゴミがいつも多め。
一人暮らしの部屋に送られてきた、実家からの段ボール箱の中、ネコイラズの隣に、「ハハイラズ」と書かれた桃色の錠剤が。