超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2021-06-18から1日間の記事一覧

専用車両

満員電車に揺られている時、ふと隣の死者専用車両を覗くと、麦わら帽子をかぶった女の子が一人ぽつんと座っていて、やがて海の近い駅で降りていった。

福笑い

おじいちゃんの遺影で福笑いをしている最中、偶然笑っているように見える顔が出来たのを見て、母がふと「こんな風に笑うことができる人だったら、おじいちゃんの人生も変わっていたかもね」とつぶやき、場の空気が重くなる。