超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

桃と水槽

(昼下がりの、狭い部屋。あなたと私が、テーブルを挟んで座っている。) (ここはあなたの部屋で、私は何かの用事があってここを訪れた。テーブルにはお茶や煎餅が置かれている。) (部屋にはガラス戸があり、その向こうにはベランダがある。そして、その…

逃がす

昨日学校から帰った後、もうこんなもの要らないと思って、おちんちんを取り外し、空気を吹き込んで窓から外へ逃がした。よぼよぼの飛行船みたいだった。 今朝学校へ行く途中、萎んだおちんちんが電線に引っかかっているのを見つけた。 いつもそこにとまって…

花と首輪

近所に住んでいたお姉さんの家の庭にあった花壇では、全ての花に首輪がはめられていた。古い布やリボンを加工したお姉さん手作りの首輪で、結構ちゃんとしたものだったと思う。お姉さんの家の傍を通ると、花壇から伸びたたくさんの首輪の紐が、庭に面したお…

白い土と赤い種

夜の商店で、缶詰を買った。寂しかったのだ。家に帰り蓋を開けると、女の綺麗な白い手首が現れた。 そっと手を握ると、握り返してきた。汗ばんで温かかった。爪には赤いマニキュアが塗られていた。 枕元に缶詰を置き、手を握って眠ることにした。白い手首は…