超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

疑問符

 息子と川へ釣りに行ったのだが、釣り針を持ってくるのをうっかり忘れてしまった。仕方がないので、息子の発する疑問符を採って釣り針に加工することにした。自分のでもいいが、なぜか疑問符という物は子どもの物の方がしっかりしていて丈夫なのだ。さっそく息子に尋ねた。「何かお父さんに訊きたいことあるだろ」息子は少し考えてから、元気よく答えた。「どうしてお父さんは禿げてるの?」無事釣り針は手に入ったが、涙で水面が滲んで釣りにならなかった。