超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

そっち

 クラスで飼っている金魚が一匹死ぬたびに、教室の時計が止まる。不思議な現象で、原因がわからない。とにかく金魚が死ぬたびに時計が止まる。はじめのうちは、この現象に感動して何かわけのわからない話をしていた担任の先生も、最近は、止まった時計にいちいち電池を入れ直したり時間を合わせたりすることが面倒くさくなってきたらしく、金魚が死ぬたびに小さく舌打ちをするようになった。ぼくらとしてはそっちの方が時計が止まることより面白い。