超短編小説 トモコとマリコ

超短編小説を中心とした短い読み物を発表しています。

ソフトクリーム

 動物園を散歩していたら不思議な形の金属片を拾った。何に使うものなのかさっぱり見当がつかないが、マジックペンで番号や符丁のようなものが書き込まれているところを見ると、動物園の備品の一部だろう、と思い管理所へ届けると、若い職員が出てきて、これはこれはわざわざありがとうございます、見つからずに困っていたところだったんです、と言うので、それは何なんですか、と尋ねると、若い職員は爽やかな笑顔で、象の耳のちょうつがいです、と答えた。ので象の檻を見に行くと、「おじいちゃん」と呼ばれている一頭が体調不良でお休みしている旨が書かれた看板が立っていた。何だかいいことをした気がしたので、自分へのご褒美として売店でソフトクリームの高いのを買った。